【読んだ本メモ】渡辺温『アンドロギュノスの裔(ちすじ) 渡辺温全集』(創元推理文庫)

古本屋で見かけて、あれッなんでこの本のタイトル知ってたんだっけ……と思ったら、森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』でチラッとタイトルがでてきたんだな。

映画版の夜は短しでも同じせりふが出てきたね。

横溝正史が雑誌の編集長をしていたころに、将来を期待されていながら惜しくも交通事故で若くして亡くなった作家です。

表題の「アンドロギュヌスの裔(ちすじ)」はその中の一篇だった。

どんなおどろおどろしい物語なのだろうかと思って読んでみたら、案外王道ミステリっぽいかんじのものが多かった。

ほかの作品もミステリものが多い。

男女の恋の絡む話が多くって、どれもたいがい面白いどんでん返しが用意されていてサクサク読める。

『ああ華族様だよと私は嘘を吐くのであった』いたいな散文詩のような作品があったり、『可哀相な姉』みたいなジメジメした作品もあり、翻訳ものでは、H・G・ウェルズの作品があったり、いろんな作品タイプの作品があるけど、どれも影が差したような暗い雰囲気がマッチしている。

映画関係の仕事をしていたことから映画脚本の作品もあり、小説の描写も映像的というのだろうか、読んでいると動きのある描写がすんなり入ってくる気がします。

たまにチョイ悪(ワル)っぽい女の子がでてくるんですけどね、蓮ッ葉っていうんだろうか、その描きかたがとてもよいです。

おかっぱな髪型を「お河童(ボッブドヘア)」って書いているのがとても気に入りました。

面白いな、僕もこの表現、使おう。