春ごとに心をしむる花の枝(え)にたがなほざりの袖かふれつる 大弐三位

春ごとに心をしむる花の枝(え)にたがなほざりの袖かふれつる

 大弐三位

 返し

 新古今和歌集 巻第一 春歌上 49

「春ごとに私が心の色を深くしみ込ませているこの美しい花の枝に誰が気まぐれな袖をふれて、そのしみ込ませた移り香であなたを嘆かせるのでしょう。」『新日本古典文学大系 11』p.32

藤原定頼からの贈歌「見ぬ人によそへて見つる梅の花散りなん後のなぐさめぞなき」への返歌。

定頼集「返し」。

大弐三位集(端白切)三句「花の色に」。

本歌「色よりも香こそあはれと思ほゆれ誰が袖ふれし宿の梅ぞも」(古今 春上 読人しらず)。

身代わりではなく、私自身が深く心を通わせている花だが、色より香を賞でるあなたには分からない。その香にしても気まぐれに訪れたどなたかの袖の移り香でしょうといって軽くはぐらかす一方、浮気な相手を揶揄したもの。

参考「花の枝にいとど心をしむるかな人の咎めむ香をばつつめど」(源氏物語 梅枝)。

「梅」の歌。

大弐三位(だいにのさんみ 生没年未詳 999?-1082?)平安中期の女流歌人藤原宣孝の娘。母は紫式部。若くして上東門院彰子に仕える。

後拾遺集初出。新古今六首。勅撰入集三十七首。

小倉百人一首 58 「有馬山ゐなの笹原風ふけばいでそよ人を忘れやはする」

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