「総理に代わり」前次官へ対応要求 加計問題で補佐官 

安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画に関連し、和泉洋人首相補佐官が昨年、前川喜平前文部科学事務次官を官邸に複数回呼び、国家戦略特区制度による獣医学部新設の手続きを促していたことが分かった。政府関係者が明らかにした。前川氏も三十日、要請があったことを認めるコメントを公表。「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」との趣旨の発言があったことも明らかにした。前川氏は同学園の選定が前提と受け止めたとみられ、野党は首相の意向が背景にあったとみて政権追及の姿勢を強める構えだ。

 和泉氏は三十日夜、共同通信などの取材に応じ、「そんなことを言った覚えはない。総理からの指示もない」と述べた。

 安倍首相は三十日の参院法務委員会で、一九九三年衆院選に初当選した頃、学園の役員を数年間務め、年間十四万円の報酬を得ていたと説明。「はるか昔のことだ」とも語った。質問した民進党小川敏夫氏は、前川氏の証人喚問を要求した。首相は「委員会がお決めになることだ」と事実上拒否した。

 前川氏は代理人弁護士を通じて公表したコメントで「昨年九月上旬に首相官邸の補佐官執務室で、対応を早くしてほしいと求められた」と説明。和泉氏に了承したと伝えたが、担当する文科省の専門教育課に面会の趣旨だけを連絡し、松野博一文科相には報告しなかったという。昨年十月半ばにも和泉氏に呼ばれて官邸で面談し、獣医学部新設に向けた状況を質問されたが「引き続き検討中」と答えたという。

 菅義偉官房長官は三十日の記者会見で、和泉氏の言動を調査する考えがあるかを問われ「全くない」とした。民進党大串博志政調会長は和泉氏の証人喚問を要求した。松野氏は会見で、働き掛けに関し「前川氏からそのような話を聞いたことはない」と述べた。

 一方、特区制度担当の山本幸三地方創生担当相は会見で、獣医学部の新設決定前の昨年九月に、学園の加計孝太郎理事長と大臣室で面会したと明らかにした。「愛媛県今治市獣医学部新設を提案しているのでよろしく」と働き掛けを受け、「公正、中立に粛々と進めていく」と答えたという。